信頼されるブリーダーになるには
ブリーダーはいろいろな相手と取引をすることがあります。卸売業者やペットショップとは売買契約がありますし、他のブリーダーとのやり取りもあるでしょう。
いずれにしても取引をうまく円滑に行うためには、信頼を感じ取ってもらわないといけません。繁殖に使う良質な動物を仕入れることも重要ですが、バイヤーを見つけるのも大事です。信頼感があれば懇意にしてくれるバイヤーとの良い関係を持ちやすいでしょう。
信頼できるブリーダーには特徴があります。まず知識が豊富であることです。遺伝的な要素などについてあまり知らなければどんな交配をさせているか疑われるでしょう。
ですから知識は絶対です。衛生管理にも気を配る必要があります。汚い飼育スペースを持っているブリーダーは信用されません。
また売買終了後も相談に乗ってくれるとか、見学に快く応じてくれるというのも信頼感を増すポイントです。またブリーダーの数に対して明らかに管理能力を超えるほどの数の動物がいるようなら粗雑な飼育が予想されますから、飼育頭数についても熟慮が必要です。
ブリーダーに求められていること
ブリーダーに求められている大きな事の一つは、動物たちを世の中に流通させることです。ブリーダーがいなければペットの入手が難しくなります。
といってもブリーダーはいい加減にそこらへんの犬や猫をかき集めて交配させ、数をひたすら増やしているわけではありません。基本的には特定の血統を守って、その性質などを良く考えて子孫を残すサポートをするのがブリーダーの役割です。
血統が証明されていると、例えばそのペットの将来の育ち方がある程度推測可能です。どれくらいの大きさになるのかが分かっていれば飼育計画も立てやすいでしょう。日本は基本的に小型の動物を好む傾向があるというか、そうしやすい環境にあると言えます。
実際人気の高い犬のランキング上位には小型犬が顔を連ねています。また最近の猫人気も、手間がかからないだけでなく、小型だからという理由があるでしょう。ですから特定の血統の動物はそういう将来の要素も踏まえて購入しやすいという背景があります。
「この犬なら小型犬でそれほど大きくならないので安心」といった意向があります。このようなわけで血統を意識した繁殖をおこなうブリーダーの存在は大切です。残念ながら、下でも書いているように心ない悪質なブリーダーが血統に関連した様々な要素を無視して作業をしている実態が今の日本にはあります。
儲かればどんな環境で動物を扱っても問題ないという風潮があります。ですからブリーダーには血統を意識するのはもちろん、常に動物たちの命を尊重して疾患などのトラブルリスクを下げることが求められます。
犬・猫のブリーダーどっちになりたい?
犬と猫という動物界の2トップに関してはよく話題にのぼることがあります。「私は犬派」という人もいれば「断然猫」という人もいます。いずれにしても現在の日本においてはこの2種類の動物の人気がとりわけ目立ちます。
では少し統計的な情報を見てみましょう。犬と猫の需要を少し見ておくと、ブリーディングを考える上での参考になります。「一般社団法人ペットフード協会」によると平成28年の全国の犬猫飼育実態調査の結果、推計の犬猫飼育頭数は1,972万5千頭でした。
そのうち犬が987万8千頭で、猫が984万7千頭となっています。これを見るとやはり犬も猫も両方が同じような人気であることが分かります。では平成28年だけでなく、直近の数年間の情報とも比べてみましょう。
2012年から見てみると、犬の場合は2012年に1千153万4千頭と1千万台の大台にのっていました。それが2013年だと1千87万2千頭、2014年には1千34万6千頭とさがってきて、2015年にはついて1千万代を割っています。つまり犬の飼育頭数は年々減少していると言う事です。
一方猫はどうかというと、2012年は974万8千頭、2013年が974万3千頭、2014年には9千959万頭、2015年は987万4千頭とだいたい同じような数字になっています。こうしてみると犬と比べて猫は横ばいか微増という状況なので、猫の需要の大きさが見て取れます。
もちろんこれは新たに購入されたペットの数だけでなく既存のペットも含まれているでしょうから、どちらが多く売れたかは一概には言えません。しかし猫のサイズや犬よりも手間がかからない動物であることを考えると、猫人気の高さは事実です。
とはいえ犬が不人気かというともちろんそうではありません。犬は盲導犬や警察犬など社会貢献できる能力も高いですし、小型の犬も多くいます。ですから結論として、犬か猫かのどちらのブリーダーを目指すかにそれほど大きな差はないということです。
どちらにもそれなりの需要があるでしょう。ただ発情回数や性質の違いは両者にあるので、どれくらいの規模でやってどれくらいの収支にするのか考えた上で選ぶ必要があります。
ブリーダーの仕事は実際どうなの?
ブリーダーの仕事は魅力的な仕事です。動物が大好きな人なら説明は不要ですが、かわいく魅力的な特性を持つ動物が1匹新しく誕生する場面に立ち会えるのは喜びです。
それを自分がサポートして、大切に育て、最終的に信頼できる飼い主に行き渡り、その家族がペットのおかげで幸福感や癒しを感じられるお手伝いができます。
さきほどのペットフード協会の資料によれば、ペットを飼う効用として、家族とのコミュニケーションが豊かになったとか、情緒が安定した、ハリのある生活が送れるようになった、生命の大切さをより理解するようになったなどいろいろなポジティブな結果が見られています。
ペットは人間にはない能力で社会貢献をすることもできますし、家庭では安らぎを与える存在になるので、それらを繁殖させるブリーダーは誇りを持てる職業と言えます。しかしブリーダーの作業そのものは決して楽な内容ではありません。
必ずしも計画していた通りの繁殖や品種改良ができるとは限りません。失敗すれば落胆することもあります。命が失われることもあるでしょうから、メンタル面での強さが求められます。また基本24時間365日体制で動かないといけません。
生き物相手ですからそれも当然です。動物たちが心身共に健やかに成長できるように、ゲージや飼育スペースは常に清潔にしないといけません。遊び相手になったり、餌の世話をしたり、しつけをしたりと四六時中動物を優先させた生活になります。
多くの頭数を飼っているのであれば余計そうです。ですからまとまった休みを取りたい時や、病気なので働けないという時には都合がたちにくいということがあります。
さらに取引相手との間のトラブルが出る可能性もあります。このようにブリーダーの仕事は魅力的とは言え、現実的に大変な側面もあります。
ですからまずはいきなり独立開業などはせずに、ブリーダーのもとで下積みしたり、会社勤めのブリーディングをするなどして業務に接してみるのが良いかもしれません。
ブリーダー資格で現場の即戦力に近づこう
犬・猫ペットブリーダー
ブリーダーとしていきなり独立開業するのはハードルが高いです。未経験者でもブリーダーのアシスタントとして雇ってくれるところもあるとは思いますが、やはり即戦力だとブリーダーの仕事を見つけやすいでしょう。
即戦力になるにはある程度の知識が必要です。ですから資格を取得するなどして学習レベルを証明するのが手っとり早いです。ブリーダーになるには特別な資格は必要ありませんが、民間の資格はいろいろあります。
例えば日本生活環境支援協会(JSFCA)主催の「犬・猫ペットブリーダー」という資格があります。この資格は家庭の犬や猫の繁殖や改良について基礎的な知識があること、またブリーダーとして業務の知識を有していることを認定するものです。
開業に必要な事柄や、ブリーダー業のイロハなどについて一定の理解があることが証明されます。
ペット繁殖インストラクター
また日本インストラクター協会(JIA)の「ペット繁殖インストラクター」という資格もあります。こちらも繁殖に関する注意点や方法などに関する知識を持っている事を証明します。
これらの資格を取得しておけば、即戦力としての土台を築くことができます。開業前にまずは他のブリーダーのもとで経験値をあげてもいいですし、自宅やカルチャースクールで講師活動をしたり、ブリーダーとして開業する事もできます。
ブリーダーに求められるモラルと倫理
ブリーダーはモラルを特に高く持つことが必要な職種です。というのも命と接している職業だからです。ブリーディングは基本的に生命を交配させて繁殖したり、品種改良に取り組んだりするのがメインの業務です。
つまり新しい命を宿すことを計画的に行い、遺伝的な要素をある意味操作する立場にあります。ですからちゃんとした倫理観を持っていないといけません。残念ながらブリーダー業界の中には悲しい現実があります。それは営利に走り過ぎた悪徳業者の存在です。
営利追求が悪いわけではありません。もしブリーダーが何も稼げない職業だとしたら、ブリーダーになる人が少なくなってしまいます。ですから収益はある程度意識しないといけません。でもそれと強欲とは違います。少しばかり業者の悪質な商売について言及します。
悪質業者は例えば、生後間もない動物をすぐに取り上げて売りさばこうとすることがあります。現在法律上は生後56日間は子どもは親元にいさせないといけないとされていますが、これまで業者はそんなことお構いなしに営業を続けていました。
親元でしばらく過ごさないと子犬は情緒や社会性において不安定になります。ですからこうしたやり方はペットを尊重していない方法です。また大量にペットが売買される環境があると価格は下落しますが、それは低価格での生産につながります。
そして大量に安く生産するために劣悪な環境で無理な繁殖を繰り返す動きが助長されます。粗悪な餌が与えられたり、散歩や洗浄、排泄物の処理などまともな扱いのない中で育てられ売られていくことがあります。遺伝的な要素をまるで考えない業者もいます。
何年も近親交配を無理に続けた結果遺伝的な疾患を持つ動物が「流通」してしまうことがあります。
他にもモラルや倫理に関しては悪質ブリーダーについて言うべき事がいろいろありますが、ブリーダーは母体を保護して無理のない計画的な出産をすること、遺伝的な形質を考えて交配させること、飼育環境を常に衛生的にし、情緒を考えて親元に十分いさせてあげること、飼育頭数を考えて規模をコントロールすること、売買先の信頼度や誠実さをチェックして、大切に扱ってくれる相手にのみ販売する事などを常に意識する必要があります。
飼い主に信頼されるブリーダーになって
ペットショップを通してではなく、一般の消費者がブリーダーから直接ペットを購入することもあります。ホームセンターやペットショップで品定めをして購入することもいぜんとして多いですが、ブリーダーからの方がメリットがあるとして直接ブリーディング現場から受け入れるのを好む人がいます。
ブリーダーはちゃんとペットを見せて対面説明をしなといけません。例えば生まれた子犬を見せながら、健康状態や病状歴、飼育環境や飼い方、病気のリスクや犬種の説明などをしないといけません。
こうした説明責任をきちんと果たせなければ飼い主から信頼してはもらえません。また先述したように売買の後のアフターフォローも期待されますから、このあたりの対応をきちんとすることで「優良ブリーダー」として認識してもらえるようになります。
ブリーダー資格でプロのブリーダーを目指そう
ブリーダーの資格としてさきほどあげたような資格を取得するには、ペットに関していろいろと勉強しないといけません。そうするのに専門学校に通う方法もありますが、時間がなかなか取れないと言う人も少なくないでしょう。
そういう時は通信講座を受講すると言う方法があります。通信講座なら自宅での学習ができて時間の都合がつきやすいでしょう。一つだけ講座を紹介すると諒設計アーキテクトラーニングの「犬・猫ペットブリーダーW資格取得講座」があります。
この講座では先述の2つの資格が同時に取得できるカリキュラムになっているので、無駄なく資格取得が可能です。取得にかかる時間も2カ月から6カ月と短めですし、初心者にも対応した内容になっています。
専門スタッフによる無制限の質疑応答にも対応しているので安心して受講可能です。受講料や資格取得の手段など詳しい内容については公式サイト(https://www.designlearn.co.jp/breeder/)をチェックしてください。
まとめ
ブリーダーに求められる事はたくさんあります。豊富な知識はもちろん、信頼されることもブリーダーとして成功する上で欠かせません。
また単なる技術面でのスキルだけでなく、モラルや倫理も踏まえて業務に臨む必要があります。これらの点をまんばんなく意識していればブリーディングの魅力を感じながら、飼い主に喜ばれる結果を残すことができるでしょう。
通信講座なども活用しながら、優良ブリーダーになる目標に近づいていってください。



